小行列式と余因子

ここでは「小行列式」と「余因子」がどんなものか説明します。

小行列式 \(M_{ij}\)

まずは 小行列式 (Minor determinant) \(M_{ij}\)。 「小さな」行列式、「マイナー (Minor)」 ということで記号は \(M\) を使います。

正方行列 \(A=[a_{ij}]\) があるときに、その \((i,j)\) の小行列式 \(M_{ij}\) というのは、行列 \(A\) の \(i\) 行と \(j\) 列を取り除いた部分行列の行列式のことです。

具体例でみてみましょう。

今、正方行列 \(A\) が次のように与えられたとします。

\[ A = \begin{bmatrix} 1 & 2 & 3 \\ 4 & 5 & 6 \\ 7 & 8 & 9 \end{bmatrix} \]

この \(A\) の \((2, 1)\) の小行列式 \(M_{21}\) はどうなるでしょうか。

行列 \(A\) から \(2\) 行目と \(1\) 列目を取り除きます。

\[ \begin{bmatrix} \blacksquare & 2 & 3 \\ \blacksquare & \blacksquare & \blacksquare \\ \blacksquare & 8 & 9 \end{bmatrix} \rightarrow \begin{bmatrix} 2 & 3 \\ 8 & 9 \end{bmatrix} \]

こんな部分行列を考えます。

こうしてできた、行列 \(A\) の部分行列の行列式が、行列 \(A\) の小行列式 \(M_{21}\) になります。

\[ M_{21} = \begin{vmatrix} 2 & 3 \\ 8 & 9 \end{vmatrix} \]

小行列式 \(M_{ij}\) はこれだけです。

余因子 \(C_{ij}\)

それでは次に余因子 (cofactor) \(C_{ij}\) というのを定義します。こちらは英語で、コファクター (Cofactor) なので、記号は \(C\) を使います。

正方行列 \(A\) の \((i, j)\) 余因子は、上でみた小行列式 \(M_{ij}\) を使って次のように定義されます。

\[ C_{ij} = (-1)^{i+j} M_{ij} \]

余因子 \(C_{ij}\) は小行列式 \(M_{ij}\) の符号を調整しただけです。\(i+j\) が偶数になれば、\((-1)^{i+j}\) は 1 になるので \(C_{ij}\) は \(M_{ij}\) と等しく、\(i+j\) が奇数なら符号が変わって \(C_{ij} = -M_{ij}\) です。

次の記事では、この余因子を使って \(A\) の行列式を計算する方法を説明します。

余因子展開による行列式の計算

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