弧長の求め方 - パラメータ表示 例題 (2)

\(x\) と \(y\) が \(x = 2 \cos t\)、\(y = 2 \sin t\) で与えられている。\(t\) の範囲は \([0, \pi]\) とする。\((x, y)\) の軌跡の弧長を求めよ。

弧長を求める問題です。

まずは、どのような軌跡であるか、考えてみましょう。

与えられた式は \(x\) と \(y\) が \(x = 2 \cos t\)、\(y = 2 \sin t\) です。

この図で赤い点が \((x,y)\) を表しています。\(t=0\) のとき点は \((2, 0)\) にあり、 \(t\) が大きくなるにつれ、半径 \(2\) の円周上を動き、 \(t=\pi\) のときに \((-2,0)\) となります。

つまり、軌跡は半径 \(2\) の円周の上半分側です。半径 \(r=2\) の円周の弧長はぐるっと一回りで \(2\pi r = 4\pi\) ですから、求める軌跡はこの半分の \(2\pi\) です。

パラメータ表示のときの弧長の公式

問題の弧長はすぐにわかりますが、ここでは弧長を求める公式を活用して計算してみましょう。

パラメータ表示の時の、弧長の公式はこれです。

\(t\) を媒介変数 (パラメータ) として、\(x = x(t)\) 、\(y=y(t)\) のとき、 \(t\) の範囲を \([a, b]\) としたときの弧長 \(L\) は次の式で求められる。

\[ \begin{aligned} L &= \int_{a}^{b} \sqrt{ [x'(t)]^2 + [y'(t)]^2 } dt \end{aligned} \]

この公式に当てはめて計算してみましょう。

\(x(t)=2\cos t\)、\(y(t)=2\sin t\) ですから、それぞれ \(t\) で微分すると \(x'(t)=-2\sin t\)、\(y'(t)=2 \cos t\) です。

\(t\) の範囲は \([0, \pi]\) ですから、\(a\) は \(0\) で \(b\) は \(\pi\) です。

これらを公式に当てはめると、次のように計算できます。

\[ \begin{aligned} L &= \int_a^{b} \sqrt{ [x'(t)]^2 + [y'(t)]^2 } dt\\ &= \int_0^{\pi} \sqrt{ (-2 \sin t)^2 + (2 \cos t)^2} dt\\ &= \int_0^{\pi} \sqrt{ 4 (\sin^2 t + \cos^2 t) } dt\\ &= \int_0^{\pi} 2 dt\\ &= 2 \Big[ t \Big]_0^{\pi}\\ &= 2 ( \pi - 0 )\\ &= 2\pi \end{aligned} \]

確かに \(2\pi\) になりました。

極座標表示として弧長を求める

この問題を極座標として考えて、今 \(t\) を \(\theta\) と書き直すと、\(x = 2\cos \theta\)、\(y = 2\sin \theta\)。 \(\theta\) の範囲が \([0, \pi]\) という状況です。

極座標での弧長を求める公式は次の式です。

\[ \begin{aligned} L &= \int_{\alpha}^{\beta} \sqrt{ r^2 + \Big(\frac{dr}{d\theta}\Big)^2 } d\theta \end{aligned} \]

これを適用することでも、確かに弧長がもとまることがわかります。

ここで \(r=2\) で一定の状況です。\(\theta\) の変化によって、\(r\)が変わらないので \(\displaystyle\frac{dr}{d\theta} = 0\) です。

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