留数を求める公式 例題 (1)

次の複素関数の特異点と留数を求めよ。

\[ f(z) = \frac{z^4}{z^2 - iz + 2} \]

簡単におさらいすると、特異点は字面で言えば「特異な振る舞いをする点」ということですね。複素関数のときには、 微分可能ではない (正則ではない) 点を特異点といいます。

特異点の中で、特に分母がゼロになる点はといいます。極は特異点のひとつです。

ちなみに \(p(z_0) \not = 0\) で \(f(z) = \displaystyle\frac{p(z)}{(z-z_0)^n} \) のとき、点 \(z=z_0\) は \(n\) 位の極である、といいます。\(1\) 位の極は特に単純極といいます。

\(f(z)\) が \(z=z_0\) で単純極を持つ場合には次の式が使えます。

\[ \begin{aligned} \underset{z = z_0}{\text{Res}} f(z) &= b_1 \\ &= \lim_{z \to z_0} (z - z_0) f(z) \end{aligned} \]

与えられた式の極を探すため分母を因数分解します。

\[ \begin{aligned} f(z) &= \frac{z^4}{z^2 - iz + 2} \\ &= \frac{z^4}{(z - 2i)(z+i)} \end{aligned} \]

これによって、\(z = 2i\) と \(z= -i\) で単純極を持つことがわかります。

まず \(z = 2i\) のときの留数を上の公式で求めましょう。

\[ \begin{aligned} \underset{z=2i}{\text{Res}} f(z) &= \lim_{z \to 2i} (z-2i) \frac{z^4}{(z - 2i)(z+i)}\\ &= \lim_{z \to 2i} \frac{z^4}{z+i} \\ &= - \frac{16i}{3} \end{aligned} \]

次に \(z = -i\) のときは次のようになります。

\[ \begin{aligned} \underset{z=-i}{\text{Res}} f(z) &= \lim_{z \to -i} (z+i) \frac{z^4}{(z - 2i)(z+i)}\\ &= \lim_{z \to -i} \frac{z^4}{z-2i} \\ &= \frac{i}{3} \end{aligned} \]

単純極の場合は上の公式の手順、つまり、分母から \((z-z_0)\) を取り払って、\(z\) に \(z_0\) を代入するだけなので簡単ですね。

\(2\) 位以上の極の場合は何回か微分してから代入することになります。

ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。SNS 等でこの記事をシェアしていただけますと、大変励みになります。どうぞよろしくお願いします。

© 2024 基礎からの数学入門