ε-δ 論法による極限 (x → ∞)
前回、ε-δ 論法による極限 について説明しましたが、 そちらの記事では \(x \to a\) のときの極限値についての説明でした。
この記事ではそれのバリエーションとして \(x \to \infty\) の場合について説明します。この場合は ε-δ 論法といっても、肝心の δ が出てきません(苦笑)
さっそくですが、\(x \to +\infty\) では次を極限の定義とします。
もし \(N \lt x\) ならば、任意の \(\epsilon\) で \(|f(x) - L| \lt \epsilon\) となる、というような正の数 \(N\) を見つけられるのであれば \(f(x)\) の \(x \to +\infty\) の極限値は \(L\) である
さっそく問題を解きながら考えてみましょう。
\(\displaystyle\lim_{x \to +\infty} \displaystyle\frac{1}{x} = 0\) を証明せよ。
\(x \to +\infty\) としたときに、もし \(N \lt x\) ならば \(\vert f(x) - 0 \vert \lt \epsilon\) になる、というような \(N\) を見つければよい。
\(x \gt 0\) であるから
これが \(\epsilon\) になるときの \(x\) を求めると
よって、\(N = \displaystyle\frac{1}{\epsilon}\) とすることで、\(N \lt x\) にて次が成り立つ。
ゆえに \(\displaystyle\lim_{x \to +\infty} \displaystyle\frac{1}{x} = 0\) である。
グラフでみると次のような関係になっていることがよくわかると思います。
グラフは単調減少なので \(f(x) = \displaystyle\frac{1}{x} = \epsilon\) となる \(x\) 、すなわち \(x = \displaystyle\frac{1}{\epsilon}\) が \(N\) となり、 それ以降は極限値として証明した \(0\) にどんどん近付いています。
\(x \to -\infty\) のとき
\(x \to -\infty\) の時も同様で、その場合は \(x \lt N\) ならば、極限値との差がたかだか \(\epsilon\) であるような \(N\) を見つければよいです。