ディラックのデルタ関数
次のような式を考えます。
\[
\delta (t) = \begin{cases}
0 &( t \ne 0 ) \\
\infty &( t = 0)
\end{cases}
\]
これを ディラックのデルタ関数 とか 単位インパルス関数 とか 衝撃関数 といいます。
この関数の重要な性質として、 \(f(t)\) を \((-\infty, \infty)\) で定義された任意の連続関数としたとき、次が成り立ちます。
\[
\int_{-\infty}^{\infty} f(t) \delta(t-t_0) dt = f(t_0)
\]
\(f(t)\) に \(\delta(t-t_0)\) をかけて \((-\infty, \infty)\) で積分すると、\(f(t_0)\) となります。
これを利用すると \(\delta(t)\) のラプラス変換が簡単に計算できます。\(t_0 = 0\) のとき、
\[
\begin{aligned}
\mathcal{L}[\delta(t)] &= \int_0^{\infty} e^{-st} \delta(t) dt \\
&= \int_{-\infty}^{\infty} e^{-st} \delta(t - t_0) dt \\
&= e^{t_0} \\
&= e^{0} \\
&= 1
\end{aligned}
\]
つまりデルタ関数のラプラス変換は 1 になります。