一階線形微分方程式とは

まずは、言葉の整理からはじめましょう。

ここで最初に扱うのは、一階線形微分方程式です。英語では "First-Order" (一階) の "Linear" (線形、線形) の "Differential Equation" (微分方程式) といいます。

微分方程式というのは、「これから求める未知の関数の導関数が、ひとつ以上含まれている方程式」のことです。

例えば、\(y\) が \(x\) の関数だとすると、その導関数は \(y'\) とか \(\displaystyle{\frac{dy}{dx}}\) と書きますよね。 微分方程式というのは、それらが組み合わされている方程式のことです。ですから、\(y'+xy=1\) とか \(y''+xy'+\cos(x)=e^x\) などというのは微分方程式です。

\(n\) 階微分方程式というのは、微分方程式に含まれる導関数で、階数の一番高い導関数の階数が \(n\) である、ということです。 ですから「一階の」微分方程式である、ということは、微分方程式に含まれる導関数の一番高い階数 (Order) が 1 であるということです。

階数というのは、\(y\) が \(x\) の関数だとすると、\(y\) を \(x\) で微分した回数と同じです。カイスウで、どっちも音が同じで紛らわしいですね。 \(y'\) の階数は 1。\(y''\) の階数は 2。... \(y^{(n)}\) の階数は \(n\) です。

一階の微分方程式ということは、一階の導関数が含まれていて、それ以上の階数の導関数を含まない微分方程式ということです。 例えば \(y'+xy=1\) は一階微分方程式です。しかし、 \(y''+xy'+x=1\) は \(y''\) が含まれるので一階微分方程式ではなく、二階微分方程式です。

常微分方程式と偏微分方程式

微分方程式は大きく「常微分方程式」と「偏微分方程式」に分けられます。

\(y\) がひとつの変数 \(x\) だけの関数 \(y = y(x)\) である場合に、変数 \(x\) と関数 \(y\) 及びその導関数 \(y^{(n)}\) \((1, 2, \cdots, n)\) との関係式を、 特に常微分方程式といいます。

また、\(z\) が多変数、例えば変数 \(x\)、\(y\) の関数 \(z = z(x, y)\) である場合に、変数 \(x\), \(y\) と関数 \(z\) 及びその導関数 との関係式は 偏微分方程式といいます。

ここでは特にことわらない限り常微分方程式を扱っています。

線形微分方程式の「線形」とは

さらにここでは線形の一階微分方程式を考えます。「線形の」一階微分方程式であるということは、一階導関数の一次式の微分方程式ということです。

つまり、 \(y'+xy=1\) は線形一階微分方程式ですが、 \((y')^2+xy=1\) は\(y'\) の二次式になっているので線形ではありません。非線形一階微分方程式です。

一階線形微分方程式の一般形

以上から、線形一階微分方程式は一般的に、\(p(x)\)、\(q(x)\) を \(x\) の関数として、次のように書けます。

\[ \frac{dy}{dx} + p(x)y = q(x) \]

ここで特に、\(q(x) = 0\) のときに同次 (homogenous) であるといいます。 \(q(x) \not = 0\) のときは非同次といいます。

微分方程式を解く、ってどういうこと?

普通の多項式の方程式、例えば 「\(x^2-3x+2=0\) を解け」 ということはどういうことだったでしょうか。

これは、与えられた方程式を満たす \(x\) を求めるということに他なりません。

一応計算しておきましょう。「方程式 \(x^2-3x+2=0\) を解け」という問題なら、 \(x^2-3x+2=0\) を \((x-1)(x-2)=0\) と変形して、この方程式を満たす \(x\) が \(1\) か \(2\) である、という解を求めることができます。

さて、それでは「微分方程式を解く」ということはどういうことでしょうか?

これは与えられた微分方程式を満たす \(y\) を求めることに他なりません。言い換えると、 どんな \(y\) が与えられた方程式を満たすか探す過程が、微分方程式を解くということといえます。

では早速、一階線形微分方程式の解き方をみていきましょう。

一階線形微分方程式の解き方

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