スカラー場の勾配 grad
スカラー場 \(f(x,y,z)\) の各点 \((x,y,z)\) において \(f\) の偏微分係数を成分とする、 次のベクトルを f の勾配ベクトル (gradient) とか、あるいは単に「勾配」といいます。
\[
\text{grad} f = \frac{\partial f}{\partial x} \overrightarrow{i} + \frac{\partial f}{\partial y} \overrightarrow{j} + \frac{\partial f}{\partial z} \overrightarrow{k}
\]
\(\overrightarrow{i}\)、\(\overrightarrow{j}\)、\(\overrightarrow{k}\) はそれぞれ、\(xyz\) 直交座標系における \(x\)、\(y\)、\(z\) 軸の基本ベクトルです。
ここで、次の微分演算子として次の形の演算子を考えます。
\[
\nabla = \frac{\partial}{\partial x} \overrightarrow{i} + \frac{\partial}{\partial y} \overrightarrow{j} + \frac{\partial}{\partial z} \overrightarrow{k}
\]
すると、上の \(\text{grad} f\) は次のように書けます。
\[
\begin{aligned}
\nabla f &= \Big(\frac{\partial}{\partial x} \overrightarrow{i} + \frac{\partial}{\partial y} \overrightarrow{j} + \frac{\partial}{\partial z} \overrightarrow{k}\Big) f \\
&= \frac{\partial f}{\partial x} \overrightarrow{i} + \frac{\partial f}{\partial y} \overrightarrow{j} + \frac{\partial f}{\partial z} \overrightarrow{k}\\
&= \text{grad} f
\end{aligned}
\]
この演算子を用いた計算は、あとでたくさん出てきます。演算子によって、計算が形式的で覚えやすく済ませることができる場合が多いので、 なるべく演算子を使うことにします。
この演算子 \(\nabla\) はナブラ (nabla) と読みます。
米国の教科書では「デル演算子」(del) とも書いています。という以上に、私が調べた限りはむしろ「デル」と呼ぶ方が普通のようです。しかし、日本ではナブラというのが普通です。