Δ (デルタ) とは?
\(\Delta\) (デルタ) という記号 (ギリシャ文字) は、しばしば「何かがちょっとだけ増えた量」を表すのに使われます。例えば時刻が \(t\) で表されているとしたら、\(\Delta t\) という量は「ちょっとだけ時間が経った」ということを表します。
基点 \(t_0\) が今日の午後 3 時ちょうどとすれば、\(t_0 + \Delta t\) というのは、午後 3 時と1分とか、 あるいは午後3時と1 秒とか、あるいは午後 3 時と0.1 秒とか、そんな感じです。
自動車の速度の時間変化を考えている時には、「1分」では「ちょっと」というには大きいかもしれません。しかし、 地球上の大陸の移動速度を考えるときなど、「数万年単位の中での 1 分」を考えているなら「ちょっと」の時間と呼んでいいかもしれません。
何を「ちょっと」とみなすかは考えている対象によって変わるので、一般的な議論では具体的な数字を当てはめる必要はありません。 具体的な値を考えるのではなく「ちょっとした増分」(微増分)が \(\Delta\) と考えれば OK です。
増加分として考える
\(\Delta x\) というときに、「\(x\) の微小変化分」と考えるのではなくて、 「\(x\) の微小増加分 (微増分)」と考えると見通しがよくなります。
単なる「変化」と考えると、増加なのか減少なのか分からなくなってあいまいになりますが、 \(\Delta\) をいつも「増加」と考えておけば、もし計算結果で「マイナスの \(\Delta\) ナントカ」という値が出てくれば、それは「減少」だということがわかります。
極限値を考えるとき
\(x\) の微増分として \(\Delta x\) があるとします。
「わずかに増加する」ということの極限を考えるとき、次のように記号を変えて \(\Delta x \to 0\) の極限値を考えていますよ、ということを示します。
既に微分積分を学んだ方ならこの記号は、みたことがありますね。微分や積分の記号で出てくるあれです。微分積分では微増分の極限値を考えているのです。
近似計算
それから、特に物理学などで近似計算をするときに良く出てくるのですが、式の変化の過程で微増分の二乗などが出現した時に、 次のように \(0\) に近似することがあります。
記号 \(\approx\) は「ほぼ等しい」という意味です。
例えば、次のようになります。
これを承知しておかないと、突然項が消えて式が追えなくなったりしますので、覚えておくといいです。