移動法則 ~ \(e^{at}f(t) \)のラプラス変換
ここでは \(f(t)\) のラプラス変換 \(F(s)\) と \(e^{at}f(t) \) のラプラス変換の関係をみてみましょう。
まず \(F(s)\) はラプラス変換の定義から次の通りです。
\[
\begin{aligned}
F(s) &= \mathcal{L}[f(t)] \\
&= \int_{0}^{\infty} e^{-st}f(t) dt \\
\end{aligned}
\]
さて、\(e^{at}f(t)\) のラプラス変換を計算します。上の式で \(f(t)\) のところを \(e^{at}f(t)\) に置き換えるだけですから次のようになります。
\[
\begin{aligned}
\mathcal{L}[e^{at}f(t)] &= \int_{0}^{\infty} e^{-st} e^{at} f(t) dt \\
&= \int_{0}^{\infty} e^{-(s-a)t} f(t) dt \\
\end{aligned}
\]
これはよく見ると、 上で定義した \(F(s)\) で \(s\) を \(s-a\) に置き換えたものです。ですから、
\[
\mathcal{L}[e^{at}f(t)] = F(s-a)
\]
であることがわかりました。
一般に、関数 \(f(x-A)\) というのは 関数 \(f(x)\) を \(x\) 軸方向に \(A\) だけ平行移動したものです。
上の結果から \(t\) の関数 \(f(t)\) を \(e^{at}\) 倍すると、 そのラプラス変換は元の関数 \(f(t)\) のラプラス変換 \(F(s)\) に対して \(F(s-a)\) になることがわかりました。
ということは言い換えると、\(t\) の関数 \(f(t)\) を \(e^{at}\) 倍したラプラス変換は、 元の関数 \(f(t)\) のラプラス変換 \(F(s)\) を \(s\) 軸方向に \(a\) だけ平行移動したものになる、といえます。
これはラプラス変換の移動法則などと言われます。
特に 第一移動法則 といいます。では、第二移動法則とかはあるの?ってことになりますが、それは 「ラプラス変換の第二移動法則」をみてください。