小行列式と余因子
ここでは「小行列式」と「余因子」がどんなものか説明します。
小行列式 \(M_{ij}\)
まずは 小行列式 (Minor determinant) \(M_{ij}\)。 「小さな」行列式、「マイナー (Minor)」 ということで記号は \(M\) を使います。
正方行列 \(A=[a_{ij}]\) があるときに、その \((i,j)\) の小行列式 \(M_{ij}\) というのは、行列 \(A\) の \(i\) 行と \(j\) 列を取り除いた部分行列の行列式のことです。
具体例でみてみましょう。
今、正方行列 \(A\) が次のように与えられたとします。
この \(A\) の \((2, 1)\) の小行列式 \(M_{21}\) はどうなるでしょうか。
行列 \(A\) から \(2\) 行目と \(1\) 列目を取り除きます。
こんな部分行列を考えます。
こうしてできた、行列 \(A\) の部分行列の行列式が、行列 \(A\) の小行列式 \(M_{21}\) になります。
小行列式 \(M_{ij}\) はこれだけです。
余因子 \(C_{ij}\)
それでは次に余因子 (cofactor) \(C_{ij}\) というのを定義します。こちらは英語で、コファクター (Cofactor) なので、記号は \(C\) を使います。
正方行列 \(A\) の \((i, j)\) 余因子は、上でみた小行列式 \(M_{ij}\) を使って次のように定義されます。
余因子 \(C_{ij}\) は小行列式 \(M_{ij}\) の符号を調整しただけです。\(i+j\) が偶数になれば、\((-1)^{i+j}\) は 1 になるので \(C_{ij}\) は \(M_{ij}\) と等しく、\(i+j\) が奇数なら符号が変わって \(C_{ij} = -M_{ij}\) です。
次の記事では、この余因子を使って \(A\) の行列式を計算する方法を説明します。