オイラーの微分方程式

前回は定数係数の2階同次線形微分方程式を解く方法 について説明しました。線形独立な二つの解を見つければ、その線形結合として一般解が得られるという定理があって、 その二つの解を見つけるのに特性方程式を利用する、というものでした。

ここでは、定数係数ではない微分方程式ですが、定数係数の場合とよく似た手順で解ける微分方程式です。

オイラーの微分方程式

次の形式の微分方程式を、オイラーの微分方程式といいます。

\[ x^2y''+axy'+by=0 \]

\(a, b\) は実数。 \(x \gt 0\)

アメリカの資料では「コーシー・オイラーの方程式 (Cauchy-Euler equation)」、「オイラー・コーシーの方程式」あるいは 「オイラー方程式」などと紹介されているものが多いようです。ここでは日本の文献でよくみる 「オイラーの微分方程式」という呼び方にしておきます。

このとき特性方程式は次の式となります。

\[ \lambda^2 + (a-1) \lambda + b = 0 \]

特性方程式の解によって、一般解は次のように求まります。

(1) 特性方程式が異なる二実根 \(\lambda_1\) と \(\lambda_2\) を持つとき

\[ y = C_1 x^{\lambda_1} + C_2 x^{\lambda_2} \]

(2) 特性方程式が重根 \(\lambda\) を持つとき

\[ y = C_1 x^{\lambda} + C_2 x^{\lambda} \ln x \]

(3) 特性方程式が虚根 \(\lambda = a \pm b i\) を持つとき

\[ y = x^{a} \Big[ C_1 \cos(b \ln x) + C_2 \sin(b \ln x) \Big] \]

ここでは特性方程式がこんな形になりますよ、という説明だけにしましたが、 これは変数変換で定数係数の微分方程式に書き換えられるからです。 興味のある人は、「オイラーの微分方程式の例題 1」 の二つ目の解法に変数変換の方法も参考にしてください。

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