一階常微分方程式の解法
一階常微分方程式 (first order ordinary differential equations) を解く基本的な方法を整理します。
微分方程式の形によって、微分方程式の解法が異なります。 つまり「ナントカ形の微分方程式のときは、こんな解き方で解ける!」というパターンがいくつかあります。
ですから一階常微分方程式を解くためには、まずは ナントカ形の方程式とはどういう形の式であるか、ということと、それぞれの形の場合にどんな解法で解くのか、というのを覚える必要があります。
基本は、次の 6 パターンです。
- 変数分離形の微分方程式
\[ g(y) \frac{dy}{dx} = f(x) \]
このとき、次の式で微分方程式を解く。
\[ \int g(y) dy = \int f(x) dx + C \]
- 同次形の微分方程式
\[ \begin{aligned} \frac{dy}{dx} = f\Big(\frac{y}{x}\Big) \end{aligned} \]
このとき、\(y = ux\) なる \(u(x)\) を使うと次の変数分離形となる。
\[ \begin{aligned} \int \frac{1}{f(u) - u} du &= \int \frac{1}{x} dx \end{aligned} \]
- 一階線形微分方程式
\[ \frac{dy}{dx} + p(x)y = q(x) \]
\(q(x) = 0\) のとき、変数分離形として解ける。
\(q(x) \not = 0\) のとき、\(P(x)\) を \(f(x)\) の原始関数とし、積分因子 \(\mu(x) = e^{P(x)}\) を用いて \(y\) は次式で求められる。
\[ \begin{aligned} \ y &= \frac{1}{\mu} \int \mu q(x) dx \end{aligned} \] - ベルヌーイの微分方程式
\[ \begin{aligned} \frac{dy}{dx} + p(x) y = q(x) y^n \tag{1} \end{aligned} \]
\(u = y^{1-n}\) とおくことによって、\(u\) の一階線形微分方程式として解ける。
\[ \frac{du}{dx} + (1-n)p(x) u = (1-n) q(x) \]
- クレローの微分方程式
\[ y = xy' + f(y') \tag{1} \]
この場合、次の一般解と特異解を持ちます。
一般解: \(y = Cx + f(C)\) 特異解: \(x = - f'(p)\)
\(y = - p f'(p) + f(p)\)
( \(p\) は媒介変数 ) - 完全微分形の微分方程式
\[ M(x, y) dx + N(x, y) dy = 0 \]
この微分方程式が完全微分形となる必要十分条件は \(\cfrac{\partial M}{\partial y} = \cfrac{\partial N}{\partial x}\) である。
このとき一般解は次の式で求められる。
\[ F(x,y) = \int M dx + \int \Big( N - \frac{\partial}{\partial y} \int M dx \Big) dy \]
これらを覚えることで、かなり多くの微分方程式が解けるようになるはずです。