ロピタルの定理
ここで紹介するロピタルの定理 (l'Hopital's Rule) は、\(x \to 0\) とか \(x \to \infty\) としたときに、 \(\displaystyle\frac{0}{0}\) とか \(\displaystyle\frac{\infty}{\infty}\) となるとき (これを不定形といいます) に適用できます。
どういうものかというと、
ならば
となるというものです。つまり、分母と分子をそれぞれバラバラに微分してできた式の極限値 \(L\) は、もとの関数の極限値 \(L\) と同じということです。
とても簡単に計算できる場合が多々あるので、知っておくと非常に便利です。
次の極限値を求めよ。
分子は \(x\) で、これが \(x \to 0\) なので当然分母は 0 に近づきます。分子の \(\sin x\) も \(x \to 0 \) の時は 0 に近付きます。\(\dfrac{0}{0}\) の形です。
ですが、この場合ロピタルの定理が使えて
だから、
であることがわかります。
次の極限値を求めよ。
\(f(x)\)、\(g(x)\) が多項式の場合も同様です。
ですので、ロピタルの定理から次のようにできます。
したがって、
となります。
試しに因数分解してみましょう。
となり、上で求めた結果と同じになりました。
不定形のべき乗
上では \(\displaystyle\frac{0}{0}\) とか \(\displaystyle\frac{\infty}{\infty}\) という形の不定形を考えました。
その他、\(\displaystyle\lim_{x \to a} [f(x)]^{g(x)}\) のとき、次の場合も不定形のべき乗 (Indeterminate Powers) となります。
\(\displaystyle\lim_{x \to a} f(x) = 0 \) かつ \(\displaystyle\lim_{x \to a} g(x) = 0\) | \(0^0\) 形 |
\(\displaystyle\lim_{x \to a} f(x) = \infty \) かつ \(\displaystyle\lim_{x \to a} g(x) = 0\) | \(\infty^0\) 形 |
\(\displaystyle\lim_{x \to a} f(x) = 1 \) かつ \(\displaystyle\lim_{x \to a} g(x) = \pm \infty\) | \(1^{\pm\infty}\) 形 |
不定形となり直ちには極限値がわかりません。このときは、どのように極限値を求めれば良いでしょうか。
この場合は自然対数をとることで、\(\displaystyle\frac{0}{0}\) とか \(\displaystyle\frac{\infty}{\infty}\) という形に持ち込むことができます。 対数をロピタルの定理などを用いて求められれば、\([f(x)]^{g(x)} = e^{g(x) \ln f(x)}\) の関係から極限値を求めることができます。