二次方程式の解の公式
二次方程式の解の公式 (quadratic formula)は次の通りです。
\(ax^2+bx+c=0\) \((a \ne 0)\)のとき、解 \(x\) は次の式で求めることができる。
中学を卒業してしまえば使わない、というものでもなくて、意外と大学の教養課程くらいでも、 定数係数の二階常微分方程式の特性方程式も二次方程式で与えられるので、 解の公式が必要になることがあります。
平方完成で解の公式が導ける
それでは解の公式を導いておきましょう。
導出過程を覚えておけば、公式に出てくる係数や符号を忘れた時にも、公式を自分で導き直せるのでとても便利です。
方針としては、二次方程式 \(ax^2+bx+c=0\) を、なんとかして
\[(x+A)^2=B\]
というような形に変形します。この結果、
\[ \begin{aligned} x + A &= \pm \sqrt{B}\\ \therefore \ x &= -A \pm \sqrt{B} \end{aligned} \]
という話にもっていきたいところです。
それでは早速、式変形していきましょう。
まずは \(x^2\) の係数を \(1\) にした方が、\(a^2+2ab+b^2=(a+b)^2\) という因数分解の公式にハマるので、 \(ax^2+bx+c=0\) の両辺を \(a\) で割るところから始めましょう。
もし \(a = 0\) だと \(x^2\)の係数が \(0\) で二次方程式にならないので\(a \ne 0\) です。
\[ \begin{aligned} ax^2+bx+c&=0\\ x^2+\frac{b}{a}x+\frac{c}{a}&=0 \end{aligned} \]
ここで、\(\Big(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\Big)^2\) を展開したら、 最初の二項は \(x^2+\displaystyle\frac{b}{a}x\) になって都合が良いことに目をつけます。
そこで、
\[ \begin{aligned} \Big(x+\frac{b}{2a}\Big)^2 &= x^2 + \frac{b}{a}x + \Big(\frac{b}{2a}\Big)^2 \\ \therefore \ x^2 + \frac{b}{a}x &= \Big(x+\frac{b}{2a}\Big)^2 - \Big(\frac{b}{2a}\Big)^2 \\ \end{aligned} \]
よって、上の式は次のように変形できます。
\[ \begin{aligned} \underbrace{x^2+\frac{b}{a}x}_{\text{ここを...}}+\frac{c}{a}&=0\\ \underbrace{\Big(x+\frac{b}{2a}\Big)^2 - \Big(\frac{b}{2a}\Big)^2}_{\text{これで置き換える}}+\frac{c}{a}&=0\\ \Big(x+\frac{b}{2a}\Big)^2 &= \Big(\frac{b}{2a}\Big)^2 - \frac{c}{a}\\ x+\frac{b}{2a} &= \pm \sqrt{\Big(\frac{b}{2a}\Big)^2 - \frac{c}{a}}\\ &= \pm \sqrt{\frac{b^2-4ac}{4a^2}}\\ &= \pm \frac{\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\\ \therefore \ x &= \frac{-b \pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a} \end{aligned} \]
これで解の公式が導けました。
このように、\(x^2\) と \(x\) が出てきているときに、\(x^2+2ax+a^2=(x+a)^2\) という変形を利用して、 \(x\) の一次式の平方を含む形に式変形する手順を平方完成と呼びます。
\(x^2\) の係数が \(1\) でないとき、例えば \(ax^2+bx+c\) のときは \(a\) で全体をくくって、 \(a(x^2+\displaystyle\frac{b}{a}x+\displaystyle\frac{c}{a})\) とすれば、\(()\) の中身は因数分解の公式が使える形になります。
以上、二次方程式の解の公式とそれを平方完成で導く方法について説明しました。