三角関数のラプラス変換
\(\sin \omega t\) や \(\cos \omega t\) のラプラス変換は次の通りです。
\[
\begin{aligned}
\mathcal{L}[\sin \omega t] &= \frac{\omega}{s^2 + {\omega}^2} \\
\mathcal{L}[\cos \omega t] &= \frac{s}{s^2 + {\omega}^2}
\end{aligned}
\]
これは覚えてしまった方がなにかと便利です。が、忘れてしまっても簡単に導けます。試しに \(\cos \omega t\) のラプラス変換を計算してみましょう。
まず、オイラーの公式から次のように書けます。
\[
\begin{aligned}
e^{i\omega t} &= \cos \omega t + i \sin \omega t \\
e^{-i \omega t} &= \cos \omega t - i \sin \omega t
\end{aligned}
\]
これから、\(\cos \omega t\) は次のように書けることがわかります。
\[
\cos \omega t = \frac{ e^{i \omega t} + e^{-i \omega t}}{2}
\]
したがって、\(\cos \omega t\) のラプラス変換は指数関数を使って次のように書けます。
\[
\begin{aligned}
\mathcal{L}[\cos \omega t] &= \mathcal{L}[ \frac{ e^{i \omega t} + e^{-i \omega t}}{2} ] \\
&= \frac{1}{2} \mathcal{L}[e^{i \omega t}] + \frac{1}{2} \mathcal{L}[e^{-i \omega t}]
\end{aligned}
\]
さて、ここで \(e^{at}\) のラプラス変換は次でしたね。
\[
\mathcal{L}[ e^{at} ] = \frac{1}{s-a}
\]
ですから、指数関数の所は簡単にラプラス変換できます。 上の式は次のように計算できます。
\[
\begin{aligned}
\mathcal{L}[\cos \omega t] &= \frac{1}{2} \mathcal{L}[e^{i \omega t}] + \frac{1}{2} \mathcal{L}[e^{-i \omega t}] \\
&= \frac{1}{2} \frac{1}{s-i \omega} + \frac{1}{2} \frac{1}{s + i \omega} \\
&= \frac{1}{2}( \frac{1}{s-i \omega} + \frac{1}{s + i \omega} ) \\
&= \frac{1}{2} \frac{ s+i \omega + s - i \omega }{s^2 + {\omega}^2} \\
&= \frac{1}{2} \frac{ 2s }{s^2 + {\omega}^2} \\
&= \frac{ s }{s^2 + {\omega}^2}
\end{aligned}
\]
途中、\(i^2 = -1\) であることを使ってます。
ちなみに、オイラーの公式を使わないでまともに計算しても、そんなに難しくないですが、 部分積分の計算方法を忘れていると厄介に感じるかもです。
位相がズレてるときのラプラス変換
それから、次のように位相違いのラプラス変換が変換表などに載っていることがあります。
\[
\mathcal{L}[\sin (\omega t+\theta)] = \frac{\omega \cos \theta + s \sin \theta}{s^2 + {\omega}^2}
\]
しかし、これについては、加法定理からすぐにわかることなので、覚える必要もないでしょう。
試しに計算すると、次のようになります。
\[
\begin{aligned}
\mathcal{L}[\sin (\omega t + \theta)] &= \mathcal{L}[ \sin (\omega t) \cos \theta + \cos (\omega t) \sin \theta] \\
&= \cos \theta \mathcal{L}[\sin \omega t] + \sin \theta \mathcal{L}[\cos \omega t] \\
&= \cos \theta \frac{\omega}{s^2 + {\omega}^2} + \sin \theta \frac{s}{s^2 + {\omega}^2} \\
&= \frac{ \omega \cos \theta + s \sin \theta }{s^2 + {\omega}^2}
\end{aligned}
\]
\(\theta\) は定数ですから \( \sin \theta\) とか \(\cos \theta\) も定数になりますので、これらは \(\mathcal{L}\) の外に出てきてます。
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