完全微分形の微分方程式 例題 (1)
次の微分方程式を解け。
\[ 2x + y + (x + 2y) y' = 0 \]
問題の微分方程式を微分形式で書き直すと、次のようになります。
\[ (2x + y) dx + (x + 2y) dy = 0 \]
ここで
\[ \underbrace{(2x + y)}_{M(x,y)} dx + \underbrace{(x + 2y)}_{N(x,y)} dy = 0 \]
のように \(M\)、\(N\) をとります。
すると、
\[ \begin{aligned} \frac{\partial M}{\partial y} &= 1\\ \frac{\partial N}{\partial x} &= 1\\ \therefore \ \ \frac{\partial M}{\partial y} &= \frac{\partial N}{\partial x} \end{aligned} \]
であるから、問題の微分方程式は完全微分形です。
よって \(\cfrac{\partial F}{\partial x} = 2x + y\)、\(\cfrac{\partial F}{\partial y} = x + 2y\) を満たす \(F(x, y)\) が存在します。 問題の微分方程式から \(F\) の全微分は \(dF = 0\) であるので、一般解は \(F = C\) です。
\(F(x,y)\) を求めます。
次の式
\[ \frac{\partial F}{\partial x} = 2x + y \]
を \(x\) で積分すると、\(y\) のみの関数 \(h(y)\) を用いて
\[ F = x^2 + xy + h(y) \tag{1} \]
となります。
これを \(y\) で微分すると、
\[ \frac{\partial F}{\partial y} = x + h'(y) \]
です。一方、これは \(\cfrac{\partial F}{\partial y} = x + 2y\) ですから、結局、次の式が成り立ちます。
\[ \begin{aligned} \frac{\partial F}{\partial y} &= x + h'(y)\\ &= x + 2y\\ \therefore \ h'(y) &= 2y \end{aligned} \]
従って、
\[ h(y) = y^2 + C \tag{2} \]
\((1)\) と \((2)\) より
\[ F = x^2 + xy + y^2 + C \tag{3} \]
以上から、問題の微分方程式の一般解は \(x^2 + xy + y^2 = C\) となります。
このように、完全微分形のときの解の公式
\[ F(x,y) = \int M dx + \int \Big( N - \frac{\partial}{\partial y} \int M dx \Big) dy \]
を丸暗記していなくても、\(F\) を求めることは難しくありません。
もし、この公式に当てはめるとしたら、次のように計算できます。
\[ \begin{aligned} F(x,y) &= \int M dx + \int \Big( N - \frac{\partial}{\partial y} \int M dx \Big) dy\\ &= \int (2x + y) dx + \int \Big(x+2y - \frac{\partial}{\partial y}\int (2x + y) dx\Big) dy\\ &= x^2 + xy + \int \Big(x + 2y - \frac{\partial}{\partial y}(x^2 + xy + C)\Big) dy\\ &= x^2 + xy + \int (x + 2y - x) dy\\ &= x^2 + xy + \int 2y dy\\ &= x^2 + xy + y^2 + C \end{aligned} \]
確かに \((3)\) と同じ式が求められました。