ベルヌーイの微分方程式の解き方 (ロジスティック方程式)

ロジスティック方程式とは」では、ロジスティック方程式を変数分離形の微分方程式として解きました。

また一方で、ロジスティック方程式はベルヌーイの微分方程式と呼ばれる形でもあります。そこでここでは、「ベルヌーイの微分方程式の解き方」で説明した方法に沿う形で解いてみましょう。

\(t = 0\) のときの初期値を \(y_0\) として、ロジスティック方程式は次の形です。

\[ \begin{aligned} \frac{dy}{dt} &= k \Big( 1 - \frac{y}{L} \Big) y \tag{1} \end{aligned} \]

\((1)\) を書き換えると次の形になります。

\[ \frac{dy}{dt} - k y = - \frac{k}{L} y^2 \]

これはベルヌーイの微分方程式です。

ベルヌーイの微分方程式とは

ざっとおさらいしましょう。次の形の時、ベルヌーイの微分方程式と言われます。

\[ \begin{aligned} \frac{dy}{dx} + p(x) y = q(x) y^n \end{aligned} \]

よって、上の式は \(n = 2\)、\(p(x) = -k\)、\(q = -\cfrac{k}{L} \) の場合にあてはまります。

このとき \(u\) に関して一階線形微分方程式になります。

\[ \frac{du}{dx} + (1-n)p(x) u = (1-n) q(x) \]

そこで、\(u = y^{-1}\) とおきます。

すると \(u\) に関する次の微分方程式が成り立ちます。

\[ \begin{aligned} \frac{du}{dx} + (-1)(-k) u &= (-1)(-\frac{k}{L})\\ \therefore \ \frac{du}{dx} + k u &= \frac{k}{L} \end{aligned} \]

これは一階線形微分方程式です。

そこで積分因子として、\(\mu = e^{\int k dt} = e^{kt}\) として、\(u\) は次の式で求められます。

\[ u = \frac{1}{\mu} \int \mu \frac{k}{L} dt \]

これを解くと

\[ \begin{aligned} u &= \frac{1}{e^{kt}} \int e^{kt} \frac{k}{L} dt\\ &= \frac{k}{L e^{kt}} \int e^{kt} dt\\ &= \frac{k}{L e^{kt}} \Big(\frac{e^{kt}}{k} + C_1 \Big)\\ &= \frac{1}{L} + C e^{-kt} \end{aligned} \]

ここで \(C, C_1\) は任意定数です。

以上から、

\[ \begin{aligned} y &= \frac{1}{u}\\ &= \frac{1}{\cfrac{1}{L} + C e^{-kt}} \tag{2} \end{aligned} \]

\(y(0) = y_0\) であることから \(C\) を求めると次のようになります。

\[ \begin{aligned} y_0 &= \frac{1}{\cfrac{1}{L} + C} \end{aligned} \]

これを \(C\) について解くと

\[ C = \frac{L - y_0}{y_0 L} \tag{3} \]

\((2)\) と \((3)\) から、次の式になります。

\[ y = \frac{y_0 L}{y_0 + (L - y_0) e^{-kt}} \]

この結果は確かに、「ロジスティック方程式とは」で求めた式と同じですね。

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