置換積分 問題 (1)

次の定積分の値を求めよ。

\[ \int_0^1 \frac{e^x}{1+e^{2x}} dx \]

被積分関数が \(e^x\) の分数になっていて、ややこしそうですね。

\(u = e^{x}\) と置き換えてみましょう。

まずは \(x\) が \([0, 1]\) のときの \(u\) の値を調べます。

\[ \def\arraystretch{1.5} \begin{array}{c:c:c:c} x & 0 & \to & 1 \\ \hline u & 1 & \to & e \\ \end{array} \]

これで \(u\) が変数となるときの積分区間がわかりました。

非積分関数は \(u\) で書き換えると次のようになります。

\[ \begin{aligned} \frac{e^x}{1+e^{2x}} &= \frac{e^x}{1+(e^x)^2} \\ &= \frac{u}{1+u^2} \end{aligned} \]

\(u\) を \(x\) で微分すると、

\[ \frac{du}{dx} = e^x \]

ですが、微分した結果も \(e^x\)、つまり \(u\) ですから、

\[ \begin{aligned} \frac{du}{dx} &= u\\ \therefore dx &= \frac{du}{u} \end{aligned} \]

となります。

よって、問題分の定積分は次のように計算できます。

\(u = e^x\) とおくと、\(x\) が 0, 1 のとき、\(u\) はそれぞれ \(1, e\) に対応する。 また \(u\) を \(x\) で微分すると \(\cfrac{du}{dx} = u\) であるから \(dx = \cfrac{du}{u}\) である。

よって、この定積分は次のように計算できる。

\[ \begin{aligned} \int_0^1 \frac{e^x}{1+e^{2x}} dx &= \int_1^e \frac{u}{1+u^2} \frac{du}{u} \\ &= \int_1^e \frac{1}{1+u^2} du \\ &= \big[ \arctan u \big]_1^e \\ &= \arctan e - \arctan 1 \\ &= \arctan e - \frac{\pi}{4} \end{aligned} \]

これで計算ができました。

置換積分する、という点以外のところでのポイントは次の点でしょう。

逆三角関数の不定積分は覚えてしまおう

この計算の途中で、\(\displaystyle\int \cfrac{1}{1+x^2} dx = \arctan x + C\) を使っています。

これは覚えておかないと、計算の途中で手が止まってしまいますので、覚えてしまいましょう。

\(\arctan 1\) は意味がわかれば即答

さらに、\(\arctan 1\) が \(\cfrac{\pi}{4}\) という点については大丈夫でしたか?

これは、\(\arctan x\) というモノの意味をわかっていれば、直感的にすぐにわかります。

\(\arctan x\) は「タンジェントを x にする角度 [rad]」のこと、です。

よって、\(\arctan 1\) は「タンジェントを 1 にする角度」ですから、直ちに \(\cfrac{\pi}{4}\) とわかります。

\(\tan x\) は周期関数なので、タンジェントを 1 にする角度は無数にあります。しかし、逆関数に関しては主値の範囲で定義されているので \(\cfrac{\pi}{4}\) ひとつです。

不安な人は「逆三角関数」をみてください。

ちょっと迷ってしまう時は、逆三角関数を \(\arctan x\) と書かないで \(\tan^{-1} x\) と書くことでも、機械的にわかります。

\(\tan^{-1} 1 = A\) とおくと、\(1 = \tan A\) ですから、このときの A を求めれば良いことがわかります。

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