ロピタルの定理 例題 (3)
次の極限値を求めよ。
自然対数の底 (ネイピア数) \(e\) の定義から、\(e = \displaystyle\lim_{x \to \infty}\Big(1+\cfrac{1}{x}\Big)^x\) であることを既知とすれば、 ちょっとした式変形で答が求まります。
ここでは、ロピタルの定理を適用する方法とあわせて、二通りの方法で答えを求めます。
まずは \(1^{\infty}\) 形の不定形であることから、対数をとってロピタルの定理に持ち込む方法からやってみましょう。
\(y = \Big(1+\cfrac{2}{x}\Big)^x\) とおき対数を取り、\(x \to \infty\) の極限値を考える。
\[ \begin{aligned} \lim_{x \to \infty} \ln y &= \lim_{x \to \infty} \ln \Big(1 + \frac{2}{x}\Big)^x \\ &= \lim_{x \to \infty} x \ln \Big(1 + \frac{2}{x}\Big)\\ &= \lim_{x \to \infty} \frac{\ln \Big(1 + \cfrac{2}{x}\Big)}{\cfrac{1}{x}}\\ \end{aligned} \]
ここで \(\displaystyle\lim_{x \to \infty} \ln\big(1+\frac{2}{x}\big) = \ln 1 = 0\) かつ \(\displaystyle\lim_{x \to \infty} \cfrac{1}{x} = 0\) であるから不定形である。よってロピタルの定理が適用できる。
\[ \begin{aligned} \lim_{x \to \infty} \frac{\ln \Big(1 + \cfrac{2}{x}\Big)}{\cfrac{1}{x}} &= \lim_{x \to \infty} \frac{\Big[\ln \Big(1 + \cfrac{2}{x}\Big)\Big]'}{\Big(\cfrac{1}{x}\Big)'}\\ &= \lim_{x \to \infty} \frac{\cfrac{1}{1+\frac{2}{x}}\Big(-\cfrac{2}{x^2}\Big)}{- \cfrac{1}{x^2}}\\ &= \lim_{x \to \infty} \frac{2}{1+\frac{2}{x}}\\ &= 2 \end{aligned} \]
よって問題の極限値は、次のように求められる。
\[ \begin{aligned} \lim_{x \to \infty} y &= \lim_{x \to \infty} e^{\ln y}\\ &= e^2 \end{aligned} \]
以上で答えは求まりました。
もし、\(e = \displaystyle\lim_{x \to \infty}\Big(1+\cfrac{1}{x}\Big)^x\) を知っているものとして 計算すると次のようにも解くことができます。
\(\Big(1+\cfrac{1}{\square}\Big)^{\square}\) という形にハマるように式変形します。
ここで、\(\displaystyle\lim_{x \to a} [f(x)]^n = [\displaystyle\lim_{x \to a} f(x)]^n\) という関係を利用しました。