線積分の例題 (1)
積分経路 \(C\) が以下の \(C_1\)、\(C_2\) のそれぞれの場合、次の線積分の値を求めよ。
\[ \int_C (2x + y) dx + (x - y) dy \]
(a) \(C_1\) : 点\(A(0,0)\) から 点 \(B(1,1)\) へ直線 \(y=x\) に沿う経路
(b) \(C_2\) : 点\(A(0,0)\) から 点 \(B(1,1)\) へ放物線 \(y=x^2\) に沿う経路
線積分については「線積分」を参考にしてください。
\[ \int_C (2x + y) dx + (x - y) dy = \int_C (2x+y) dx + \int_C (x-y) dy \]
です。(a) では \(y = x\) なので、上の二項目は \((x-y)=0\) なのでゼロ。したがって、
\[ \begin{aligned} \int_C (2x + y) dx + (x - y) dy &= \int_0^1 (3x) dx \\ &= 3 \Big[ \frac{x^2}{2}\Big]_0^1\\ &= \frac{3}{2} \end{aligned} \]
(b) では、\(\displaystyle\frac{dy}{dx} = 2x\) に注意すると、
\[ \begin{aligned} &\int_C (2x + y) dx + (x - y) dy \\ &= \int_0^1 (2x + x^2) dx + \int_0^1 (x - x^2) 2x dx \\ &= \Big[ x^2 + \frac{x^3}{3}\Big]_0^1 + 2 \Big[ \frac{x^3}{3} - \frac{x^4}{4} \Big]_0^1 \\ &= \Big( 1 + \frac{1}{3} \Big) + 2 \Big( \frac{1}{3} - \frac{1}{4} \Big)\\ &= \frac{4}{3} + \frac{1}{6}\\ &= \frac{3}{2} \end{aligned} \]
以上で線積分が計算できました。(a) も (b) も同じ値になりました。
ここではスカラー関数として考えてきましたが、少し見方を変えてみましょう。
変位ベクトル \(\overrightarrow{r} = \langle dx, dy \rangle\) とベクトル場 \(\overrightarrow{F} = \langle 2x+y, x-y \rangle\) を考えると、上の線積分はベクトルの内積を用いて次のように書けます。
\[ \int_C (2x + y) dx + (x - y) dy = \int_C \overrightarrow{F} \cdot d\overrightarrow{r} \]
渦なし \(\nabla \times \overrightarrow{F} = \overrightarrow{0}\) のとき、線積分は経路によらず始点と終点できまります。
上の例では、
\[ \frac{\partial}{\partial x} (x-y) - \frac{\partial}{\partial y} (2x+y) = 1 - 1 = 0 \]
なので渦なしの条件を満たしているので、(a)、(b) 二通りで経路を変えて線積分を計算しましたが同じになります。