2階非同次線形微分方程式の基本的な解き方
2階の非同次微分方程式とは
次の形の微分方程式で、右辺の \(r(x)\) が \(0\) ではない場合、非同次 (nonhomogeneous) の微分方程式といいます。
上式で \(r(x) = 0\) のとき、同次方程式といいます。
具体例でいうと、
は、右辺の \(r(x)\) にあたるところが \(0\) ではないので非同次式です。これの右辺を \(0\) にした
は、上の非同次式に対する「同次式」ということになります。
この2階同次微分方程式の解き方は「定数係数の2階同次線形微分方程式の解法」で説明しています。 あとで説明するように、非同次微分方程式を解くには、それに対する同次方程式の一般解を求めることが必要になります。まだの人は、先に同次微分方程式の解き方をみてください。
非同次微分方程式の一般解
非同次微分方程式の一般解は、それに対する同次式の一般解 \(y_{h}\) と、非同次式を満たす特殊解 \(y_{p}\) の和になることが知られています。
\(y_{h}\) の添字の \(h\) は「同次式」の英語 homogenous equations の h です。homogenous の発音は、カタカナで書くと「ホゥモゥジーニアス」に近い発音です。
\(y_{p}\) の添字の \(p\) は「特殊解」の英語 particular solution の p です。
このため、非同次微分方程式を解くときには、同次式の一般解 \(y_{h}\) を求め、 さらに非同次式を満たす解 (なんでもいいからひとつ) を探すことになります。
大事な点なので、もう少し説明します。
同次式の一般解 \(y_{h}\) を求める
非同次微分方程式、
の一般解を求めるには、はじめに、それに対する同次式である、
を考え、同次式の一般解を求めます。
例えば、非同次微分方程式、
の一般解を求めるには、それに対する同次式である、
を考えて、一般解を求めます。この例では定数係数の2階同次線形微分方程式なので、「定数係数の2階同次線形微分方程式の解法」に書いたように、特性方程式を考えることで、次のように一般解が求められます。
\[ y_{h} = C_1 e^{-x} + C_2 e^{4x} \]
ここで \(C_1\) と \(C_2\) は任意の定数です。
非同次式の特殊解 \(y_{p}\) を求める
次に、元の非同次微分方程式を満たす、特殊解 \(y_{p}\) を求めます。 特殊解はなんでもいいから、ひとつ発見できれば、それが特殊解ということになります。
例えば、非同次微分方程式、
の特殊解を求めるには、特殊解として例えば \(y = Ae^{2x}\) を予想してみます。\(A\) は何らかの定数とします。もし、この \(A\) が定まれば特殊解が求められたことになります。
\(y = Ae^{2x}\) を微分すると、 \(y' = 2Ae^{2x} \) さらにもう一度微分すると \(y'' = 4Ae^{2x} \) ですから、これを元の非同次式に代入すると、
\[ \begin{aligned} y'' - 3y' - 4y &= 4Ae^{2x} - 3(2Ae^{2x}) - 4Ae^{2x}\\ &= (8A - 6A - 8A)e^{2x}\\ &= -6Ae^{2x} \end{aligned} \]
です。したがって \(-6A e^{2x} = 3e^{2x}\) を満たすように \(A = -\cfrac{1}{2}\) とすれば、
\[ y_p = - \frac{1}{2} e^{2x} \]
が、与えられた非同次微分方程式を満たすので、これが特殊解であるといえます。
以上から、非同次微分方程式、
の一般解は「同次式の一般解」+「非同次式の特殊解」から、
となります。
以上で、非同次微分方程式の一般解が求められました。
ちなみに、ここでは、特殊解を求めるために、しれっと「\(y_p = Ae^{2x}\) と予想」することによって、うまいこと正解まで辿り着くことができています。
特殊解を求めるための方法には、「未定係数法」とか「定数変化法」などの方法が用いられます。「\(y_p = Ae^{2x}\) と予想」したのは、未定係数法と呼ばれる方法のひとつです。