定数変化法 - 2階非同次線形微分方程式 (1)

次の微分方程式を解け。

\[ y'' - 2y' + y = \frac{e^{t}}{1+t^2} \]

さて、問題の微分方程式は、定数係数の2階非同次線形微分方程式です。

非同次の微分方程式を解くには、まず同次式の一般解 \(y_h\) を求めます。 そして、次に非同次式の特殊解 \(y_p\) をみつけます。

これらから、非同次式の一般解 \(y\) は

\[ y = y_h + y_p \]

であることから、求めることができます。

ここでは、同次式に関しては定数係数ですから、特性方程式の根からすぐにわかりそうです。

特殊解を探すには、非同次項が単純な形ではないので、定数変化法を利用します。


与えられた非同次式に対する同次式は \(y'' - 2y' + y = 0\) です。

特性方程式は \(\lambda^2 - 2\lambda + 1 = 0\) であり、これは \((\lambda -1)^2 = 0\) より、\(\lambda = 1\) で重根を持ちます。

したがって、

\[ y_h = C_1 e^{t} + C_2 te^{t} \]

となります。線型独立な基本解 (基底) は \(y_1 = e^{t}\)、 \(y_2 = te^{t}\) になります。

定数変化法から、非同次式の特殊解 \(y_p\) は次の式で求めることができる。

\[ y_p = -y_1 \int \frac{y_2 r}{W} dt + y_2 \int \frac{y_1 r}{W} dt \]

ここで、\(r = \cfrac{e^{t}}{1+t^2}\)。ロンスキアンは \(W = W(y_1, y_2)\) ですから

\[ \begin{aligned} W(y_1, y_2) &= \begin{vmatrix} e^{t} & te^{t}\\ e^{t} & (1+t)e^{t} \end{vmatrix}\\ &= e^{2t} \end{aligned} \]

です。

上の \(y_p\) に出てくる、積分のところを先に計算すると、

\[ \begin{aligned} \int \frac{y_2 r}{W} dt &= \int \frac{te^t}{e^{2t}} \cdot \frac{e^{t}}{1+t^2} dt \\ &= \int \frac{t}{1+t^2} dt \\ &= \frac{1}{2} \ln (1+t^2) \end{aligned} \]
\[ \begin{aligned} \int \frac{y_1 r}{W} dt &= \int \frac{e^t}{e^{2t}} \cdot \frac{e^{t}}{1+t^2} dt \\ &= \int \frac{1}{1+t^2} dt \\ &= \arctan t \end{aligned} \]

と計算されます。

この積分では積分定数を含める必要はありません。なぜなら、

\[ \begin{aligned} y_p &= -y_1 \int \frac{y_2 r}{W} dt + y_2 \int \frac{y_1 r}{W} dt\\ &= -y_1 (F_1(t) + C_1) + y_2 (F_2(t) + C_2)\\ &= -y_1 F_1(t) + y_2 F_2(t) + C_1 y_1 + C_2 y_2 \end{aligned} \]

注: \(C_1\) は任意定数なので \(-C_1\) を \(C_1\) と置き直しています。

となり、後ろの二項は \(y_h\) と同じになり、\(y_h + y_p\) としたときに全く同じ意味になるからです。

従って、特殊解 \(y_p\) は

\[ y_p = - \frac{1}{2} e^t \ln (1+t^2) + t e^t \arctan t \]

です。

したがって、非同次式の一般解は

\[ \begin{aligned} y &= y_h + y_p\\ &= C_1 e^{t} + C_2 te^{t} - \frac{1}{2} e^t \ln (1+t^2) + t e^t \arctan t \end{aligned} \]

となります。

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