ロンスキー行列式と線形同次微分方程式の解の独立性
ロンスキー行列式 (Wronski determinant) は次で定義されます。
n個の関数 f1(x),⋯,fn(x) に対して、次の行列式を f1(x),⋯,fn(x) の
ロンスキー行列式 W(f1,⋯,fn) という。
W(f1,⋯,fn)=∣∣f1(x)f1′(x)f1(n)(x)f2(x)f2′(x)f2(n)(x)⋯⋯⋯⋯fn(x)fn′(x)fn(n)(x)∣∣
「ロンスキー行列式 (Wronski determinant)」の他、「ロンスキアン (Wronskian)」とも呼ばれます。
このロンスキー行列式を使うと、同次線形微分方程式の解の独立性がわかります。
線形同次微分方程式
y(n)+p1(x)y(n−1)+p2(x)y(n−2)+⋯+pn−1(x)y′+pn(x)y=0
の解 y1(x), ⋯, yn(x) が一次独立である必要十分条件は、x の開区間I (a,b) で
ロンスキー行列式 (wronski determinant) が 0 にならないこと、すなわち、
W(x)=W(y1,⋯,yn)=0 (a<x<b)
が成り立つことである。(ただし I で pn(x)(n=1,⋯,n) は連続とする)
2階同次線形微分方程式の解について
特に2階同次線形微分方程式について書き下しておくと、次のように言えます。
線形同次微分方程式
y′′+p1(x)y′+p2(x)y=0
の解 y1(x), y2(x) が一次独立である必要十分条件は、x の開区間I (a,b) で
ロンスキー行列式 (wronski determinant)
W(y1,y2)=∣∣y1(x)y1′(x)y2(x)y2′(x)∣∣
が 0 にならないことである。
さてここで具体的に、y1(x)=eλ1x と y2(x)=eλ2x を考えてみましょう。
ロンスキー行列式は次の通りです。
W(y1,y2)=∣∣eλ1xλ1eλ1xeλ2xλ2eλ2x∣∣=λ2e(λ1+λ2)x−λ1e(λ1+λ2)x=(λ2−λ1)e(λ1+λ2)x
これらが線形独立である必要十分条件は、
W=(λ2−λ1)e(λ1+λ2)x=0
より、λ1=λ2 であることがわかります。
また特性方程式が重根を持つ場合の一般解に出てくる y1=eλx と
y2=xeλx についてロンスキー行列式を考えると、
W(y1,y2)=∣∣eλxλeλxxeλx(1+λx)eλx∣∣=e2λx=0
となることから、y1=eλx と
y2=xeλx は線形独立であることがわかります。