1 のラプラス変換
ここでは 1 をラプラス変換しましょう。
ラプラス変換表をみれば\(\mathcal{L}[1]\) は \(\dfrac{1}{s}\) であることはスグ分かるわけですが、 本当にそうなるか計算してみましょう。
そもそも \(f(t)\) のラプラス変換とは定義から次のようなものです。
\[
F(s) = \int_{0}^{\infty} e^{-st} f(t) dt
\]
今は 1 のラプラス変換を計算しようとしているので、\( f(t) = 1 \) ですから、上の式で \(f(t)\) を 1 にした次を計算すれば良いことになります。
\[
F(s) = \int_{0}^{\infty} e^{-st} dt
\]
\(\infty\) があると、厄介なのでちょっと書き直します。
\[
\begin{aligned}
F(s) &= \int_{0}^{\infty} e^{-st} dt \\
&= \lim_{c \to \infty} \int_{0}^{c} e^{-st} dt
\end{aligned}
\]
というわけで、まずは \( \int_{0}^{c} e^{-st} dt \) を計算すれば良いですね。
ここでちょっと、指数関数の微分積分の復習をしておきます。 \( f(t)=e^{at} \) \( (a \gt 0) \) のときに、これを \( t \) で微分すると、
\[ \frac{df(t)}{dt} = ae^{at} \]
でしたね。これを思い出せば、不定積分が次であることもすぐに確認できます。
\[ \int e^{at} dt = \frac{e^{at}}{a} + C\]
ですから、 \( \int_{0}^{c} e^{-st} dt \) に話を戻すと、この不定積分は上の式の \(a\) を \(-s\) にしたものなので、次のように計算できることがわかります。
\[
\begin{aligned}
\int_{0}^{c} e^{-st} dt &= \left[ - \frac{e^{-st}}{s} \right]_{0}^{c} \\
&= -\frac{1}{s} \left[ \frac{1}{e^{st}} \right]_{0}^{c} \\
&= -\frac{1}{s} \left( \frac{1}{e^{sc}} - \frac{1}{e^{0}} \right) \\
&= -\frac{1}{s} \left( \frac{1}{e^{sc}} - 1 \right) \\
&= \frac{1}{s} - \frac{1}{e^{sc}}
\end{aligned}
\]
従って、最初から書き直すと 1 のラプラス変換 \(\mathcal{L}[1]\) は次のようになります。
\[
\begin{aligned}
F(s) &= \int_{0}^{\infty} e^{-st} dt \\
&= \lim_{c \to \infty} \int_{0}^{c} e^{-st} dt \\
&= \lim_{c \to \infty} \left( \frac{1}{s} - \frac{1}{e^{sc}} \right) \\
&= \frac{1}{s}
\end{aligned}
\]
この結果は必ず覚えておきましょう。