同じモノが含まれるときの順列

順列の問題の主要パターンの 3 つめとして、「同じモノが含まれるときの順列」について説明します。 \(n\) 個のモノがあって、そのうちいくつかダブリがある場合の順列です。

早速例題を通して考えてみましょう。

\(\boxed{A}\) \(\boxed{A}\) \(\boxed{A}\) \(\boxed{B}\) \(\boxed{B}\) という \(5\) 枚のカードがある。 この \(5\) 枚のカードを並べ替えてできる文字の総数を求めよ。

まず、どんな問題かよく考えてみましょう。

カードを並べ替えると次のような文字(というか \(A\) と \(B\) ) の並びができます。

\[ \begin{aligned} &\boxed{A} \boxed{A} \boxed{A} \boxed{B} \boxed{B}\\ &\boxed{A} \boxed{A} \boxed{B} \boxed{A} \boxed{B}\\ &\boxed{A} \boxed{A} \boxed{B} \boxed{B} \boxed{A}\\ &\cdots \end{aligned} \]

このような \(\boxed{A}\) と \(\boxed{B}\) の並びが何通りあるか?という問題です。

\(\boxed{A}\) と \(\boxed{B}\) の置く場所や順番がたくさんありますが、どうやって解けばいいのでしょうか?

こういうときは、まずはパターン毎の順列の数を考えます。 そして \(A\)、\(B\) それぞれについて、文字は同じだとしてもカードを区別して順列を作ります

例として、ひとつめのパターン \(\boxed{A}\) \(\boxed{A}\) \(\boxed{A}\) \(\boxed{B}\) \(\boxed{B}\) を取り上げます。 カードを区別して \(1, 2, \cdots \) と番号を振ります。

\[ \begin{aligned} &\boxed{{}^1A} \boxed{{}^2A} \boxed{{}^3A} \boxed{{}^1B} \boxed{{}^2B} \end{aligned} \]

そして同じ配列のままで、カードだけ並べ替えます。

\[ \begin{aligned} &\boxed{{}^1A} \boxed{{}^2A} \boxed{{}^3A} \boxed{{}^1B} \boxed{{}^2B}\\ &\boxed{{}^1A} \boxed{{}^2A} \boxed{{}^3A} \boxed{{}^2B} \boxed{{}^1B}\\ &\boxed{{}^1A} \boxed{{}^3A} \boxed{{}^2A} \boxed{{}^1B} \boxed{{}^2B}\\ &\cdots \end{aligned} \]

\(\boxed{A}\) の順列が \(3!\) 個で、それに対して \(\boxed{B}\) が \(2!\) 個あるので、この並べ替えの総数は \(3! \cdot 2!\) 個です。 つまり、文字の並びの 1 パターンに対して、\(3! \cdot 2!\) 個の順列があります。

従って、文字並びが \(N\) パターンあるとすれば、カードを区別した順列は全部で \(3! \cdot 2! N \) 個あることがわかります。

一方、そもそもカードを区別したときの順列というのは、ダブリの無い単純な順列です。従ってその総数は \({}_5 P_5 = 5! \) 個です。

この二つは等しいので、\(N\) は次のように計算できます。

\[ \begin{aligned} 3! \cdot 2! N &= 5!\\ \therefore \quad N &= \frac{5!}{3! \cdot 2!}\\ &= \frac{5 \cdot 4}{2 \cdot 1}\\ &= 10 \end{aligned} \]

よって、カードを並べ替えてできる文字の総数は \(10\) 個です。

一般に、\(n\) 個の要素内に \(c\) 種類の要素があり、それぞれ \(n_1, n_2, \cdots , n_c\) 個のダブリ (重複) がある場合の順列の総数 \(N\) は、 次の式で求められます。

\[ \begin{aligned} N &=\frac{n!}{n_1! n_2! \cdots n_c!}\\ & (n_1 + n_2 + \cdots + n_c = n) \end{aligned} \]

似た「公式」がたくさん出てきますが、公式の丸暗記ではいつ何を使えばいいかわからなくなるので、 なるべく式の導き方を理解して覚えましょう。

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