単純な順列

\(n\) 個の異なるモノから \(r\) 個取り出して順番に並べる場合です。一度取り出したら元に戻さないとします。

このとき順列の総数 \({}_n P_r\) は次のような形で書けます。

\[ \begin{aligned} {}_n P_r &= \frac{n!}{(n-r)!} \end{aligned} \]

この記事ではこの式を導きます。

今、 5 個のアルファベット \(A\), \(B\), \(C\), \(D\), \(E\) があって、そこから 3 個選んで並べます。 このとき、何通りの並べ方があるでしょうか。

1 個目のアルファベットの選び方には \(A\), \(B\), \(C\), \(D\), \(E\) の 5 通りあります。

2 個目のアルファベットの選び方には 1 個目のアルファベットを除いた 4 通りあります。 例えば 1 個目のアルファベットとして \(A\) を選んだとしたら、2 個目のアルファベットとして選べるのは \(B\), \(C\), \(D\), \(E\) のどれかですね。

従って、2 個目までの並べ方は次のように計算できて、全部で 20 通りあります。

\[ \underbrace{5 \cdot 4}_{2\text{個の掛算}} = 20 \]

さて、続けて 3 個目のアルファベットを選びます。

1 個目に \(A\) 、2 個目に \(B\) を選んだとしたら、3 個目に選べるアルファベットは \(C\), \(D\), \(E\) の 3 個。

従って、3 個目までの並べ方は次のように計算できて、全部で 60 通りあります。

\[ \underbrace{5 \cdot 4 \cdot 3}_{3 \text{個の掛算}} = 60 \]

これを一般化して考えると、\(n\) 個の要素から \(r\) 個取り出して順番に並べる並べ方は同じ考え方で、 次のように計算できることがわかります。

\[ \underbrace{n \cdot (n-1) \cdot (n-2) \cdots (n-r+1)}_{r \text{個の掛算}} \]

要素を順番に並べたものを順列といいます。 順列は英語でパーミュテーション (Permutation) といいます。「\(n\) 個から \(r\) 個取出して作る順列 (パーミュテーション) の数」のことを、 次のように書きます。

\[ {}_n P_r = \underbrace{n \cdot (n-1) \cdot (n-2) \cdots (n-r+1)}_{r \text{個の掛算}} \]

ところが、式の途中に点々 (\(\cdots\)) があるのはちょっと困りますね。そこで、点々を消すように式を変形しましょう。

数字を一個ずつ減らして掛け算しているので、階乗 を使うことを考えます。ちなみに階乗は英語でファクトリアル (factorial) です。 \(n\) の階乗となれば次の通りです。

\[ n! = n \cdot (n-1) \cdot (n-2) \cdots 2 \cdot 1 \]

ちなみに、\(n=0\) のときの階乗は \(0! = 1\) です。

階乗を使うと \({}_n P_r\) は次のように書き直せます。

\[ \begin{aligned} {}_n P_r &= \frac{n!}{(n-r)!} \end{aligned} \]

念のため、本当に上と同じになるかみてみましょう。

\[ \begin{aligned} {}_n P_r &= \frac{n!}{(n-r)!} \\ &= \frac{ n \cdot (n-1) \cdots (n-r+1) \bcancel{\cdot (n-r) \cdot (n-r-1) \cdots 2 \cdot 1}}{\bcancel{(n-r) \cdot (n-r-1) \cdots 2 \cdot 1}} \\ &= n \cdot (n-1) \cdot (n-2) \cdots (n-r+1) \end{aligned} \]

確かに、もとの点々付きの式にもどりましたね。

以上で、順列について説明しました。一度わかってしまえばとても単純なことなので、 式を丸暗記する必要は全くないですね。

\(\boxed{A}, \boxed{B}, \boxed{C}\) の \(3\) 枚のカードから 2 枚取り出して、順番に並べる。何通りの並びかたがあるか。

\({}_3 P_2 = 3 \times 2 = 6\) 通り。

意味は \(1\) 枚目を選ぶのに \(3\) 通り。残りの \(2\) 枚から \(1\) 枚選ぶのに \(2\) 通り。よって、\(3 \times 2 = 6\) 通り。

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