くじ引きの確率

1/10 の確率で当選するくじ引きがある。何枚買えば 80% 以上の確率で少なくとも 1 枚当選するか?

この問題にスッキリ答えられるようになりましょう。

この問題ではくじ引きを引いて当たる確率はいつも \(1/10\) としています。

さて、事象 \(A\)「\(n\) 枚買って少なくとも \(1\) 枚当たる」の余事象 \(A^C\) は「\(n\) 枚買って全てハズレる」ことです。 \(P(A) + P(A^C) = 1\) ですから、求める確率は次のようになります。

\[ P(A) = 1 - (\text{\small{n 枚全てハズレる確率}}) \geqq 80\% \]

これを満たす最小の自然数 \(n\) が答えになります。

従って、\(n\) 枚全てハズレる確率を考えましょう。

1 枚毎に当たる確率は \(1/10\) でしたので、ハズレる確率は (こちらも余事象の考え方で) \(9/10\) です。 従って \(n\) 枚全てハズレる確率は次の通りです。

\[ \begin{aligned} (\text{\small{n 枚全てハズレる確率}}) &= \underbrace{\frac{9}{10} \cdot \frac{9}{10} \cdots \frac{9}{10}}_{n \text{コ}} \\ &= \Big(\frac{9}{10}\Big)^{n} \end{aligned} \]

従って、\(n\) 枚買って少なくとも \(1\) 枚当たる確率 \(P(A)\) が \(80\%\) 以上になるのは次の式を満たす最小の \(n\) です。

\[ 1 - \Big(\frac{9}{10}\Big)^{n} \geqq 0.8 \]

これを解くと \(n \geqq 15.27 \cdots\) となるので、答えは \(n = 16\)。

つまり \(16\) 枚以上買って、やっと \(80 \%\) 以上の確率で 1 枚当たることになります。

\(1/10\) の確率で当たると言っても、案外たくさん買わないと確率 \(80\%\) 以上にならないものですね。

ちなみに、上の不等式の計算は大丈夫でしたか?不等式を解くというのも久しぶり、という人も多いと思うので、 少し丁寧に書いておきます。\(9/10 = 0.9\) と書き直して計算します。

\[ 1 - (0.9)^{n} \geqq 0.8 \]

\(1\) を移項して

\[ - (0.9)^{n} \geqq -0.2 \]

マイナスがあるので、両辺に \(-1\) を掛けます。このとき、負の数をかけたので不等号の向きが変わります。

\[ (0.9)^{n} \leqq 0.2 \]

両辺の対数をとります。底が \(e\) の自然対数です。

\[ n \cdot \ln (0.9) \leqq \ln (0.2) \]

次に \(\ln(0.9)\) で両辺割りますが、\(\ln(0.9)\) は負の数であることに注意。\(y=\ln x\) のグラフを思い出しましょう。

真数が \(1\) より小さいとき、自然対数は負になります。

負の数で割り算するので、不等号の向きを変えます。

\[ n \geqq \frac{\ln (0.2)}{\ln(0.9)} \approx 15.27 \cdots \]

最後の数字については電卓を使ってます。安物でもいいので関数電卓はひとつは持っておきましょう。

以上、くじ引きの問題について説明しました。

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