空間での直線
方向ベクトルとは?
点 \(P(x_0, y_0, z_0)\) を通り、ベクトル \(\overrightarrow{u} = \langle a, b, c \rangle\) に並行な直線 L があります。
ある直線 L と並行なベクトルを、その直線の方向ベクトル (direction vector) といいます。
直線のパラメータ表示
L 上の任意の点 \(Q(x, y, z)\) を考ると、図から次の関係がわかります。
\[ \overrightarrow{OQ} = \overrightarrow{OP} + \overrightarrow{PQ} \]
ここで \(O\) は座標の原点とします。
\(\overrightarrow{PQ}\) は \(\overrightarrow{u}\) と並行なので、\(t\) をパラメータとして次のようにかけます。
\[ \overrightarrow{PQ} = t \overrightarrow{u} \]
よって、
\[ \overrightarrow{OQ} = \overrightarrow{OP} + t \overrightarrow{u} \]
となります。
このベクトルを成分表示で書くと、次のようになります。
\[ \langle x, y, z \rangle = \langle x_0, y_0, z_0 \rangle + t \langle a, b, c \rangle \]
よって、\(x, y, z\) それぞれの成分を比較することで、次の式が得られます。
\[ \begin{aligned} x &= x_0 + at\\ y &= y_0 + bt\\ z &= z_0 + ct\\ \end{aligned} \]
つまり、直線 L 上の任意の点 \((x,y,z)\) は、L が通る点 \((x_0, y_0, z_0)\) と方向ベクトル \(\langle a, b, c \rangle\) が与えられた時に、 パラメータ \(t\) を用いて上のように書けるということです。
パラメータを表す文字は必ずしも \(t\) でなければいけないことはありませんが、多くの場合 \(t\) が使われます。このため \(t\) で書くのに慣れておきましょう。
直線のパラメータ表示から方向ベクトルと通過する点が直ちにわかる
パラメータ \(t\) を用いて直線が与えられた場合、方向ベクトルは \(t\) の係数から直ちにわかります。また、同時に直線が通過する点もわかります。
上で考えたように、直線がパラメータ \(t\) を用いて次のように与えられた場合、
\[ \begin{aligned} x &= x_0 + at\\ y &= y_0 + bt\\ z &= z_0 + ct\\ \end{aligned} \]
この直線の方向ベクトルは \(\overrightarrow{u} = \langle a, b, c \rangle\) であり、少なくとも点 \((x_0, y_0, z_0)\) を通ることが直ちにわかります。
例えば、直線が次の形で与えられたとします。
\[ \begin{aligned} x &= -2 + 3t\\ y &= -2t\\ z &= 1 + 4t\\ \end{aligned} \]
このことから、方向ベクトル \(\overrightarrow{u} = \langle 3, -2, 4 \rangle\) であり、 \((-2, 0, 1)\) を通過する、ということが直ちにわかります。