三角関数の導関数を導く (sin, cos, tan)
三角関数、とくに \(\sin\) と \(\cos\) の微分の結果については、覚えておくべきでしょう。 ただ、忘れてしまってもオイラーの公式からすぐに導けるということを覚えていて損はありません。
オイラーの公式は次の式です。\(i\) は虚数単位です。\(i^2=-1\) です。
\[
e^{ix} = \cos x + i \sin x
\]
これを微分します。虚数に限らず \((e^{ax})' = ae^{ax}\) となることを思い出すと
\[
\begin{aligned}
(e^{ix})' &= (\cos x)' + i (\sin x)' \\
i \cdot e^{ix} &= (\cos x)' + i(\sin x)'
\end{aligned}
\]
左辺にもう一度オイラーの公式を適用すると、
\[
\begin{aligned}
i \cdot (\cos x + i \sin x) &= (\cos x)' + i(\sin x)' \\
\underbrace{- \sin x}_{\text{実部}} + i \underbrace{\cos x}_{\text{虚部}} &= \underbrace{(\cos x)'}_{\text{実部}} + i \underbrace{(\sin x)'}_{\text{虚部}}
\end{aligned}
\]
左辺と右辺の実部と虚部が等しいので結局、
\[
\begin{aligned}
(\cos x)' &= - \sin x \\
(\sin x)' &= \cos x
\end{aligned}
\]
となることがわかりました。
\(\tan\) は \(\sin\) と \(\cos\) から
\(\tan \) については特効薬はなくて、地味に \(\sin\) と \(\cos\) から計算します。
分数の微分が \(f\) と \(g\) が \(x\) の関数として
\[
\begin{aligned}
\Big(\frac{f}{g}\Big)' &= \frac{f' \cdot g - f \cdot g'}{g^2}
\end{aligned}
\]
であることや、\(\sin^2 x + \cos^2 x = 1\) であることなどを思い出すと、次のように計算できます。
\[
\begin{aligned}
( \tan x)' &= \Big( \frac{ \sin x}{\cos x} \Big)' \\
&= \frac{ (\sin x)' \cdot \cos x - \sin x \cdot (\cos x)' }{ \cos^2 x } \\
&= \frac{ \cos x \cdot \cos x - \sin x \cdot (-\sin x)}{\cos^2 x}\\
&= \frac{ \cos^2 x + \sin^2 x}{\cos^2 x}\\
&= \frac{1}{\cos^2 x}
\end{aligned}
\]
さらに、逆三角関数については次の記事をみてください。