フーリエ級数 例題(1)

次の関数のフーリエ級数を求めよ。

\[ f(x) = \begin{cases} \ -1 & (-1 \lt x \lt 0)\\ \ 1 & (0 \lt x \lt 1) \end{cases} \]

この問題では \(x\) の範囲が \(-1\) から \(1\) で与えられています。

「あれ、フーリエ級数は周期関数について考えるんじゃないのか?」と思われるかもしれません。 確かにその通りです。この場合は、周期 \(2\) の関数 (下図右) を考えて、そのうちの \(-1 \lt x \lt 1\) を取り出したもの、と考えればよいわけです。

そういうわけで、問題の \(f(x)\) を周期 \(2\) の関数と考えてフーリエ級数を考えます。

さて、フーリエ級数展開の公式をおさらいしておきましょう。

周期 \(p = 2L\) の関数 \(f(x)\) が、区分的に滑らかであれば、フーリエ級数は次のように求められます。

\[ f(x) = \frac{a_0}{2} + \sum_{n=1}^{\infty} \Big(a_n \cos\frac{n\pi x}{L} + b_n \sin\frac{n\pi x}{L}\Big) \]

ここでフーリエ係数 \(a_n\)、\(b_n\) は次の通り。

\[ \begin{aligned} a_n &= \frac{1}{L} \int_{-L}^{L} f(x) \cos\frac{n\pi x}{L} dx & \small{(n = 0, 1, 2, \cdots)}\\ b_n &= \frac{1}{L} \int_{-L}^{L} f(x) \sin\frac{n\pi x}{L} dx & \small{(n = 1, 2, \cdots)}\\ \end{aligned} \]

教科書によっては、\(a_0\) の項が、

\[f(x) = a_0 + ...\]

となって、

\[a_0 = \frac{1}{2L}\int_{-L}^{L} f(x) dx \]

と書いてある場合もあります。

どちらで計算しても結果は同じことです。このサイトではフーリエ係数が全て、\(\cfrac{1}{L}\) で始まる方の書き方を使います。(学校で学習中の方は、先生のやり方に従うといいと思います。)

さて、この問題を解きましょう。

フーリエ係数を計算していくだけです。

ガシガシ計算をやり始める前に、計算が簡単にならないか、元の関数 \(f(x)\) をよくみておきます。

\(f(x)\) では、\(x\) のプラス側と、マイナス側の値が、ちょうど反対になっています。こうした関数は、「奇関数」と言われます。

偶関数、奇関数については、「偶関数と奇関数の積分」をみてください。

\(f(x)\)は奇関数ですから、

\[ \begin{aligned} a_0 &= \frac{1}{L} \int_{-L}^{L} f(x) dx\\ &= 0 \end{aligned} \]

です。

また、\(\cos\) は偶関数であり、「偶関数」と「奇関数」の積は「奇関数」になりますから、

\[ \begin{aligned} a_n &= \frac{1}{L} \int_{-L}^{L} f(x) \cos\frac{n\pi x}{L} dx\\ &= 0 \end{aligned} \]

というわけで、\(a_n\) は直ちにゼロであることがわかりました。

残りは、\(b_n\) を計算するだけです。

この問題では、周期は \(2\) です。上の公式に当てはめると周期 \(p = 2L\) ですから、\(L = 1\) です。したがって、次のように計算できます。

\[ \begin{aligned} b_n &= \frac{1}{L} \int_{-L}^{L} f(x) \sin\frac{n\pi x}{L} dx\\[1.5em] &= 2 \int_{0}^{1} \sin n\pi x dx \\[1.5em] &= 2 \Big[ -\frac{1}{n\pi} \cos n\pi x \Big]_0^1\\[1.5em] &= - \frac{2}{n\pi} (\cos n\pi -1)\\[1.5em] &= - \frac{2}{n\pi} \{(-1)^n -1\}\\[1.5em] &= \frac{2}{n\pi}\{(-1)^{n+1} +1\} \end{aligned} \]

以上から、

\[ \begin{aligned} f(x) &= \sum_{n=1}^{\infty} b_n \sin n\pi x\\[1.5em] &= \sum_{n=1}^{\infty} \frac{2}{n\pi}\{(-1)^{n+1} +1\} \sin n\pi x \end{aligned} \]

となります。

\(n = 1, 2, 3, ...\) と少し書き下すと、次のようにかけます。

\[ f(x) = \frac{4}{\pi}\Big(\sin \pi x + \frac{1}{3}\sin 3\pi x + \frac{1}{5}\sin 5\pi x + \cdots\Big) \]

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