弧長の求め方 (極座標表示) の例題 (2) カージオイド
\(r = a( 1 - \cos \theta )\) の弧長を求めよ。(\(a\) は正の定数)
問題の曲線はカージオイド (cardioid) になります。カージオイドは心臓型ともいわれます。
一般に \( r = a \pm b \cos \theta\) で \(a/b = 1\) のときはカージオイドになります。
問題のカージオイドは \(r = a(1-\cos \theta)\) ですが、この中のマイナスをプラスに変えて、 \(r = a(1+\cos \theta)\) にしてもやはりカージオイドです。図形の向きが変わります。
極座標で \(x = r(\theta) \cos \theta\)、\(y = r(\theta) \sin \theta\) で \(\theta\) の範囲を \( [\alpha, \beta] \) としたときの弧長 \(L\) は次の式で求められます。
なぜこの式で弧長がわかるか、ということについては「弧長を求める - 極座標表示」をみてください。
さて、それではこの公式を使って、問題を解きましょう。
問題のカージオイドは上の図のように \(x\) 軸に対し対称なので、\(x\) 軸を境に上側 (\(y \ge 0\)) の弧長を \(L_1\) とすると、 全体の弧長 \(L\) は \(L = 2L_1\) です。
\(L_1\) はカージオイドの \(0 \le \theta \le \pi \) の範囲ですから、\(L\) は次の式で求まります。
あとは、この積分を計算すれば良いだけです。
ルートの中身が一見ややこしいので簡単にしましょう。
\(r\) は問題文で \(r = a(1-\cos \theta)\) として与えられていますから、これを \(\theta\) で微分すると、 \(\displaystyle\frac{dr}{d\theta} = a \sin \theta\) です。
よって、上の式のルートの中身は次のようになります。
これがルートの中身であることを考えると、\((1-\cos \theta) \) の部分も、何かの二乗の形になっていたら、ルートをはずせてありがたいので、 もう少し式変形しましょう。
よって、ルートの中身は次のようになります。
ここで、一般に \(\sqrt{x^2} = |x|\) であることに注意すると、
です。ここで、\(0 \le \theta \le \pi\) の範囲で \(\sin \displaystyle\frac{\theta}{2} \ge 0\) ですから、 絶対値記号はそのままはずすことができます。この点に注意して、次の式変形をみてください。
以上から、弧長 \(L\) は次のように計算できます。
以上から求める弧長 \(L\) は \(L = 8a\) であることがわかりました。