一階線形微分方程式 例題 (2)
時刻 \(t=0\) のとき貯水タンクの水50[gal]に塩が25[oz]溶けている。
このタンクに1[gal]につき4[oz]の塩が溶けた塩水を、毎分2[gal]注ぎ入れ、同時に毎分2[gal]排水している。
このとき、任意の時刻 \(t\) におけるタンク内の塩の量はいくらか。また、注水(および排水)を始めて25分の塩の量はいくらか求めよ。
アメリカの微分積分(Calculus)の教科書でよく登場する「タンクの溶液の問題」なので、単位はアメリカ式のガロンやオンス[oz]になってます。
任意の時刻 \(t\) での塩の量を \(y(t)\) [oz] とします。
まず、初期状態 \(t=0\) で塩分は \(25\)[oz] なので、 \(y(0)=25\)。
単位時間の塩の量の変化\(\cfrac{dy}{dt}\) は、次のように書けます。
\[
\begin{aligned}
\frac{dy}{dt} &= \text{\small{単位時間の流入量}} - \text{\small{単位時間の流出量}}\\
&= 4 \cdot 2 - \frac{y}{50} \cdot 2\\
\therefore \ \ & \frac{dy}{dt} + \frac{y}{25} = 8
\end{aligned}
\]
この一階線形微分方程式の積分因子を \(\mu\) とすると、\(\mu\) は次の通り。
\[
\begin{aligned}
\mu &= e^{\int \frac{dt}{25}} \\
&= e^{\frac{t}{25}}
\end{aligned}
\]
従って、\(y\) は次式となります。
\[
\begin{aligned}
y &= \frac{1}{\mu} \Big[ \int \mu q(t) dt + C \Big] \\
&= e^{-\frac{t}{25}} \Big[ \int 8 e^{\frac{t}{25}} dt + C \Big] \\
&= 200 + C e^{-\frac{t}{25}} \ \ \text{\small{(C は任意定数)}}
\end{aligned}
\]
初期条件 \(y(0) = 25\) ですから、\(t=0\) を代入すると \(C\) は次のように求まります。
\[
\begin{aligned}
y(0) &= 200 + C \\
&= 25\\
\therefore \ \ C &= -175
\end{aligned}
\]
以上から \(y\) は次の通り。
\[
y(t) = 200 - 175 e^{-\frac{t}{25}}
\]
注水を始めてから\(25\)分後の塩の量は、上式で \(t=25\) とすれば求められます。
\[ \begin{aligned} y(25) &= 200 - 175 e^{-\frac{25}{25}} \\ &= 200 - 175 e^{-1}\\ &\approx 136 \ [oz] \end{aligned} \]