一階線形微分方程式 例題 (3)
次の一階線形微分方程式を解け。
変数分離形ですが、積分因子を使って解くのも簡単です。
ここで積分因子の意味を簡単におさらいしておきましょう。
\(y' + p(x)y = q(x)\) という微分方程式の積分因子 \(\mu\) というのは、 \(\cfrac{d}{dx}[\mu y] = q(x)\) という関係を満たすものです。
こんな都合の良い \(\mu\) は \(\mu = e^{\int p(x) dx}\) で求められます。
(ちなみに \(p(x)\) が連続なら積分できるので \(\mu\) が求まります)
さて、この問題の場合 \(q(x) = 0\) ですから \(\cfrac{d}{dx}[\mu y] = 0\) です。
これは積分して直ちに \(\mu y = C\) (\(C\) は任意の定数) となります。
では、具体的に解いてみましょう。
\(x^2 + 1 \not = 0\) ですから、 \(x^2+1\) で両辺を割ると問題の式は次の形になります。
\[\frac{dy}{dx} + \frac{x}{x^2+1} y = 0 \tag{1}\]
\((1)\) の積分因子を \(\mu\) とすると、
\[ \begin{aligned} \frac{d}{dx} [\mu y] &= 0 \\ \therefore \mu y &= C \ \ \ (\text{\small{C は任意の定数}}) \tag{2} \end{aligned} \]
ここで積分因子は次の式で求められる。
\[ \mu = e^{\int \frac{x}{x^2+1} dx} \tag{3} \]
\(t = x^2+1 \gt 0\) と置くと \((3)\) は
よって、積分因子 \(\mu\) は次の通り。
上記 \((2)\) と \((4)\) から
\[ \begin{aligned} \sqrt{x^2 + 1} y &= C \\ \therefore \ \ y &= \frac{C}{\sqrt{x^2 + 1}} \end{aligned} \]
\((4)\) の \(e^{\ln \sqrt{x^2+1}} = \sqrt{x^2 + 1}\) という点は大丈夫でしたか?
自然対数 \(\ln x\) は \(\log_{e} x\) という意味。\(\log_{e} x\) というのは、 「\(e\) を \(\log_{e} x\) 乗したら \(x\) になる数」という意味でしたね。ですから、 「\(\ln \sqrt{x^2+1} \) は \(e\) を \(\ln \sqrt{x^2+1}\) 乗したら \(\sqrt{x^2+1}\) になる数」です。ここでは \(\mu\) を計算するために、まさに \(e\) を \(\ln \sqrt{x^2+1} \) 乗してますから、直ちに \(\sqrt{x^2+1}\) となります。